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EMC設計から見た部品選定
概要
  1. EMC設計を最適化するための電気・電子部品の選定基準の第一はその構造・寸法です。

    1)チップ抵抗、コンデンサー、トランジスター等の表面実装部品から生じる電気力線はPCB誘電体中に集中することから、外部からの電磁的結合、または外部への電磁的結合が小さい。

    2)逆にトランス・コネクター端子・リレー等PCB表面から飛び出した構造の部品からの電気力線(磁力線)は空間飛び出して、外部からの電磁結合、または外部への電磁的結合が大きい。

  2. インピーダンス素子(インダクター・キャパシター等)のQの最適化

    1)インピーダンス素子がある周波数で共振した場合、共振のQが大きいと素子上にQ倍の高周波電圧(電流)が生じる。従って素子の回路中の機能を見極めた上で,必要以上のQをもつ部品の採用は控えた方が良いでしょう。

  3. IC等スイッチングデバイスのスイッチングスピード

    1)CMOS−CPU等のスイッチングデバイスのスイッチング時にはインパルス状のパルス電流が電源端子に生じます。CPU処理スピードはスイッチデバイスの改良で年々早くなっていますが、これを周波数軸でみれば、年々内部で発生する高周波エネルギーは大きく、また広帯域化しているということです。

    不要な高周波エネルギーの発生を抑えるため、処理機能に必要以上のスイッチングスピードのデバイスの使用は避けるべきでしょう。

    また、この事は外来からのRFサージにも同等で、小さい接合容量を持つ接合部は高い周波数まで検波作用を示し、容易にBIT誤りを引き起こします。

具体的考え方

表面実装部品(SMD)

  1. 表面実装部品(SMD)はその平坦な構造上アンテナになり難い。

    • 表面実装部品はプリント基板誘電体上にほぼ接して搭載されることから、発生する電気力線の殆どがプリント基板の誘電体中に集中し、外部(空間)に対して影響を与え(受け)にくい構造です。

  2. 従ってEMCの観点から見ると、使用部品は全て表面実装部品にするべきでしょう。

その他の部品

  1. 表面実装部品以外の部品は、PCB上に突出した導体部分をもち、電気力線は空中に放射されます。この突出した導体部分に高周波電流が流れると、アンテナになりうるので注意が必要となります。

  2. このような部品をどうしても使用する場合は、下記の点に注意します。

    • 部品の突出部分に高周波電位が高い点をつくらない。(電気的に共振させない)

      抵抗追加によるQの低下
      部品配置の工夫
      低Q部品の採用

  3. 高周波シールド付き部品の採用

    • 上記で対策できない場合は高周波シールド付き部品の採用を検討を薦めます。

IC・ゲートアレイ等

  1. IC・ゲートアレイ等のデジタルスイッチングデバイスは、機能上必要なスイッチング速度以上のスイッチングスピードの部品の採用は控えた方が良いでしょう。

  2. 同機能のチップでも、直接印加のEMCに関しての耐性が大きく異なる場合もあるので、注意が必要です。
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