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アンテナ


質問器・カードのアンテナの指向性がシステムの動作範囲を決定します。偏波面は通常カードの携帯・取付け方向の任意性を考慮して円偏波が選択されます。またアンテナ形式は、製造のし易さ、寸法、形状の小型さからマイクロストリップアンテナ(MSA)が選択される場合が多いようです。

アンテナ寸法の概算

開口アンテナ利得
λ:自由空間波長(m)
S:開口面積(u)
η:開口効率


G=10 dBi のアンテナサイズ試算

η=50%
λ=0.122(m)

とすると

S≒0.022(u) → 15cm*15cmの大きさ

G=5 dBiのアンテナサイズ試算

η=50%
λ=0.122(m)

とすると

S≒0.0064(u) → 8cm*8cmの大きさ

回線設計で仮定したアンテナ利得10dBi、5dBi のアンテナのサイズを試算するとそれぞれ15*15cm角・8*8cm角となりカード側はほぼ名刺サイズ強の大きさになります。
実際の質問器アンテナは15cm基板にパッチアンテナを4個配置し同相給電するリニアアレイアンテナ等を設計するとほぼ試算通りの結果が得られます。
また、各々のパッチの給電位相と電力配分を制御し輻射パターンの輻射方向を自由に制御するフェーズドアレイアンテナとしても実現可能です。

カードアンテナのビーム幅

カード側のアンテナは実際の使用状態では輻射軸が傾いて使用される場合を考慮し、輻射パターンの広角化が必要です。カードを傾けた状態では広角パターンの方がアンテナ利得が高くなります。



円偏波MSAの基本構造




・L≒1/2λ・1/εrで共振する
・x方向又はy軸方向のどちらか一方向から給電すると直線偏波
・同一電力でx、y両方向に給電しその位相をπ/2ずらすと円偏波
・回転電界の回転方向で右旋円偏波か左旋円偏波となる。

直線偏波の弊害




・直線偏波を使用すると、カード偏波と質問器偏波が直交した場合通信不能となる。

MSAの機械的構造



実際のアンテナ設計では誘電体板に低損失のプリント基板を使用します。この周波数では松下のPPO、三菱ガスのBTレジン材あたりがコストパフォーマンスが良いでしょう。
多少の損失を覚悟し、誘電率の管理が出来るならFR4(ガラエポ)も使用可能です。
(c) 2011 RFD-Lab