RFD-Lab Archives

マイクロ波IDカードシステムの話


IDカードについて

非接触IDカードシステムとは、例えば人間・車・荷物・家畜等に個体を識別する情報を付加するシステムです。付加情報を何らかの通信媒体を使用して非接触で読取る事で従来人手に頼っていたいろんなアプリケーションを自動化出来ます。
身近な例ではバーコードを利用したスーパーの値段自動読取り、また最近ではスキー場の自動読取りリフト券等、我々が目にする例も増えてきました。

非接触の要求

近年汎用の接触型ICカードも普及していますが、接触型であるがゆえに移動体へのアプリケーションには不便であり、また車への応用等考えると動作範囲が広いシステムが要求されます。

非接触IDカードのアプリケーション例

分類 用途 アプリケーション例
セキュリティー
入退室管理 カードキー、汎用カード
車両管理 有料道路料金自動収受システム
無人駐車場管理システム
定期券
自動読取り定期券・乗車券システム
家畜管理システム
ファクトリーオートメーション
物流
加工・組立てライン 自動車等の自動組立てシステム
集荷・出荷管理 荷物の自動仕分システム

各種通信媒体の方式比較

便利な非接触IDシステムを実現する為には空間を介した通信が必要です。通信には通信媒体が必要ですが、現在では電磁結合・電磁誘導・マイクロ波・光の媒体を使用した各システムが開発されています。
特にマイクロ波を使用したシステムは、近年話題のITSシステムの一つのETCシステム(有料道路自動料金収受システム)として追突防止ミリ波レーダーシステムと共に注目されています。

各種通信媒体のシステム比較

項目 電磁結合方式 電磁誘導方式 マイクロ波方式 光方式
通信媒体 相互誘導 誘導電磁界 電磁波
搬送波周波数帯域 〜数MHz 数百kHz 2.45GHz・5.8GHz帯 近赤外線
動作距離 数十mm 〜1m 10m程度 20cm程度
データ伝送速度 数百kbps 数十kbps 1Mbps程度 数kbps
電波法 微弱(特に無し) 構内無線局 特に無し


マイクロ波方式IDカードシステムの特長

マイクロ波を使用したIDカードシステムは電波法上の構内無線局(2450MHz)帯域のマイクロ波を利用して構築されます。また、まもなくETCシステム用に5.8GHz帯域も法制化される見通しです。
マイクロ波を利用したシステムの特長を以下に示します。

長距離の動作範囲のシステム構築が可能
マイクロ波帯域は外来ノイズ(人口ノイズ・自然ノイズ)が小さく通信品質が良好
帯域を広く使え、高速通信が可能
1m程度の範囲であればマイクロ波電力伝送技術を使用したカードの無電池化が可能

上記の特長を生かすと

有料道路自動料金回収システム(長距離通信・高速データ伝送性)
溶接ロボット等の高雑音環境でのIDカードシステム(耐ノイズ性)
マイクロ波電力伝送による無電池化により極低温・高温下でのシステム(電池の耐温度性を補完)

に最適システムといえます。以下にシステムの概要を説明致します。



[基本システム構成]

[通信距離]

[アンテナ]

[質問機の回路構成]

[IDカードの回路構成]

[マイクロ波電力伝送技術を利用した無電池化]

[電波法規関連]
 (c) 2011 RFD-Lab